傾斜生産とは何か
国内に豊富に存在する唯一の資源である石炭資源の増産こそが生産力回復の鍵であり、ひいてはインフレ抑制の決め手になるというのです。
そこで政府は、従来の年21200万トンという出炭ペースを1挙に3000万トンに高めるという目標をかかげました。
そのために「政府の施策の中心を石炭におき、今後半年ないし1力年は石炭増産に必要な措置を他のあらゆる施策に優先せしめ、石炭超重点主義を実行する」と宣言しました。
これまで石炭の増産が進まなかった最大の原因はといえば、炭鉱設備に使われる鋼材が不足していたからでした。
鉄鋼の生産水準は戦前の10分の1にまで落ちていたのです。
ところが鉄鋼の増産にはもとより石炭の増産が不可欠です。
つまり、石炭と鉄鋼の増産には相互循環的な関係がありました。
こうして、国家によるあらゆる経済施策を、石炭・鉄鋼の増産に集中させる、いわゆる「傾斜生産方式」が強力に推進されることになったのです。
経済安定本部によるさまざまな経済統制は、結局、石炭と鉄鋼を最優先させるための統制にほかならなかったのです。