ロックンロールの名付け親 9
踊るためのブギウギ・ピアノが時代遅れとなり、新しいジャズμビ・パップの時代が到来するとともに、バンドの中からステディなビートを刻む楽器が姿を消しました。
ビートをキープしているのは、シンバルを軽く叩きつづけるドラマーの左手のみ。
それまでは確実に一小節に四つのビートを打ち出していたべース・ドラムなど、時折、ソロ楽器に呼応してアクセント的に叩かれるだけだったし、豊かな低音部を補強していたピアニストの左手も、もはや着実なべース・ランニングを聞かせることはなくなっていました。
しかし、誰もが身体で音楽を聞くことを忘れたわけじゃなかったんです。
ミュージシャンたちが高度な欲求を満たすためどんどん頭でっかちになっていく一方で、頭でではなく、あくまでも身体で音楽を聞きたい、ビートを感じたいと願う若者たちは当然欲求不満を覚えていました。
もちろん同時に、アメリカの中にはまだまだビートを忘れることのない、よりプリミティヴなダンスこミュージックが根強く生きつづけていました。