ロックンロールの名付け親 8
余談になりますが、ロックンロールの爆発と密接な関わりをもつ映画『暴力教室』の原作となった小説を書いたエヴァン・ハンターの著書に『黄金の街』というのがあります。
主人公はニューヨークに暮らす盲目のイタリア系少年。
ジャズ・ピアニストを目指して、40年代の半ば、ジャズの"黄金のストリート"として知られるニューヨーク52丁目のクラブへと赴き、野望に燃えながら他のミュージシャンと初セッションを行なうというシーンがありました。
少年が抜群のテクニックを駆使して、左手による強烈なべース・ランニングを伴ったブギウギ・ピアノを得意げに聞かせた直後、共演したプレイヤーたちは苦笑いを浮かべながらこう言います。
「坊や、もう世界は変わったのさ。今じゃそんな左手のプレイをしてるやつはダサイんだぜ。バド・パウエルを聞きな」
記憶があいまいで、一字一句この通りではないですが、だいたいそんな趣旨の言葉でした。
とても印象的なシーンだったので覚えています。